HOME沖縄時間島の豆腐屋さん
日本写真家協会会員の写真家、沖縄時間撮影人が写真で紹介する沖縄県島尻郡久米島町の【島の豆腐屋さん】
日本写真家協会会員の写真家、沖縄時間撮影人が写真で紹介する沖縄県島尻郡久米島町の【島の豆腐屋さん】の仕切り線
 

島の空港近くに、一面のさとうきび畑がある。
サワサワと風にそよぐきび畑を歩いて行くと、ひときわ大きなガジュマルの木が見えてきた。その木を目指してゆるい坂を下ると、そこには、もう40年以上も豆腐を作り続けているご夫婦が暮らしていた。
この地へ移住して来たひいお爺さんが植えたというガジュマルの木は、見事な枝ぶりで、夏の暑い陽射しを遮り、涼しい風を運んでくれる。木の下には、やはりその時代に村の人達の為に掘った井戸があり、今もまだその水は豆腐作りに使われている。井戸の近くにはゴーヤ畑があり、緑色の葉が元気に繁り、黄色の可愛らしい花を沢山つけていた。
朝4時、まだ辺りは真っ暗だが、空には満天の星。こんなに美しい星空を見るのは何年ぶりだろう。台風の影響で風は少し強い。今朝もまたこれから豆腐作りが始まろうとしている。

日本写真家協会会員の写真家、沖縄時間撮影人が写真で紹介する沖縄県島尻郡久米島町の【島の豆腐屋さん】の仕切り線

豆腐ができるまで

材 料
 大 豆6升、水(井戸水)、にがり(海水)作り方
(1)前夜10時頃から大豆を洗い、水に浸して一晩置く。翌朝4時半、水を あけ、ごみや悪い大豆を丁寧に取り除く。
(2)四角いステンレスの漏斗の様な入れ物に大豆を入れる。蛇口付きの特製バケツに井戸水を入れ、少しずつ水を流しながら機械で大豆を砕く。 砕いた液に、さらに水を加える。
(3)ステンレス製の大型脱水機に似た豆乳絞り機に、細かいネット状の袋を取り付ける。出来た液を入れてスイッチを押すと、洗濯の脱水と同じで、おからと豆乳に分かれる。豆乳はバケツに取り、ネットの中にはおからが残った。
(4)かまどにかけてある大鍋に豆乳を入れる。この時、おからが豆乳の中に入らない様に、もう一度細かい網状の袋で、豆乳を漉しながら入れる。
(5)残ったおからに水を入れ、もう一度機械に入れて再び豆乳を絞る。
(6)大鍋八分目まで豆乳が入ったところでかまどに薪をくべ、新聞紙に火をつける。薪にはモクマオウという木を使う。この木は、とても火力が強い。これから約1時間15分程煮る。
* この間に脱水機やその他の道具、床を綺麗にし、次の仕事に備える。 豆腐屋のお父さんとお母さんは、長年培ったあうんの呼吸で、ここまでの仕事を淡々とこなしていく。無駄な動きがなく、小さな仕事場なのに常に広々した感じがする。 段々と外も明るくなってきた。
(7)鍋全体に泡が立ち、ふわっと膨らんできたところで丁寧に灰汁取りをする。水を加えて泡止めをする。かまどから、ある程度薪を取りだし、鉄板を入れて、火を弱める。
(8)小さいボールで全体に回しかける様に、にがり(海水)を6杯加える。 しばらくして、さらに1杯加える。
* 沖で取った海水と、浅い所で取ったものとでは苦味が違うので量を変える。お母さんは、浅い所の方が美味しいと言っていた。
(9)ゆっくりゆっくりお玉で全体を混ぜていき、少しずつ固まり始めたら、もう一度火を強める。 固まり始めると底へ沈むので、表面の泡を丹念に取りながら固まり具合を見ていく。液の色が白色から黄色に変わり、全体に白い固まりが見える様になったら、火を止める。
* お母さん曰く、 「豆腐作りは、慌て者よりのろまな人の方がうまく出来る。」… そうな。 にがりを加えた後のお母さんの表情は、真剣だった。大鍋をしっかり見つめ、長年の勘で火加減と固まり具合のタイミングを逃さない。
(10)ざるを大鍋に浮かし、集まった液だけをバケツに取り出していく。少し底に水分を残しておく。ふわふわした固まりがたくさん出来ている。
(11)木製の豆腐型に布巾を敷き、豆腐をお玉の縁で細かくしながら入れていく。1つの型で5丁分の豆腐が出来る。
(12)初めに軽い重しをしてしばらく置く。もう一度少なくなった分の豆腐を加え、さらに山盛りになるまで足していく。再び重しをかけて置く。 ある程度水が切れたところで、布巾の端を持って綺麗に形を整える。この後、20kg位の重しをかけて約1時間置く。
* 朝8時半過ぎには、豆腐を買いに近くの人達がやって来る。この日は27丁の豆腐が出来た。 私たちは、木型に入れる前のふわふわした「ゆし豆腐」を頂いた。豆乳と海水の味だけなのに、とても美味しかった。残ったおからは野菜の肥料になる。お母さんの最近の研究によると、このおからをゴーヤ畑に撒くと苦味の少ないゴーヤが生るという。また、畑の中から大豆の芽が2本出てきたので、自家製大豆を作ってみようと話して下さった。

日本写真家協会会員の写真家、沖縄時間撮影人が写真で紹介する沖縄県島尻郡久米島町の【島の豆腐屋さん】の仕切り線

撮影を終えて

5年前に初めて豆腐作りを見せていただいた。その朝は台風で飛行機が飛べず、雨風の強い中、朝5時に宿を出て撮影を始めた。
今回もまた到着した日の翌朝は、近づいて来る台風8号に備えて、トタン屋根に砂袋を乗せたり、畑の作物を採り入れたりとで、豆腐作りはお休み。その翌日も風が強く、中止。「台風 大野」の異名がついてしまいそうで、もう撮影は出来ないと思った。
でも幸いなことに、台風が少し逸れてくれた。午後には東京へ戻らなくてはならない最後の朝、ようやくまた豆腐作りを見ることが出来た。
今まで殆どの作業を手作業でされていた。豆腐作りの中で豆乳絞りは、一番大変な作業だ。数年前からその部分を機械でするようになった。お母さんにとっては楽になって良かったと思ったが、私たちにその話をして下さった時「少し機械化してしまった。」と残念そうな表情をなさった。
豆乳絞りは、とても力のいるここ一番の仕事だったので、お母さんの気持ちは良くわかる。でも美味しい豆腐を作り続けて欲しいから、体力のいる部分は、もう楽にしてもいいのではないかと思った。
自分でたった3カップの大豆で豆腐を作ってみた。試してみて豆乳を採ることの大変さが良くわかった。にがりを入れる時のタイミング、掻き混ぜるまでの火加減と間合い。なかなかうまくはいかなかった。
いつも鍋の中の豆乳と対話をするようにじっと見つめていたお母さんの仕事ぶりは、素晴らしいと思った。すべてが長い間の経験と勘なのだ。毎日最初から最後まで丁寧な仕事をされているご夫婦が、このままずっとずっとお元気でこの仕事を続けていかれますようにと、切に思う。

文 大野 葉子

日本写真家協会会員の写真家、沖縄時間撮影人が写真で紹介する沖縄県島尻郡久米島町の【島の豆腐屋さん】の仕切り線

写真がご覧頂けます

■ Photo Gallery ■

I 島の豆腐屋さん I

日本写真家協会会員の写真家、沖縄時間撮影人が写真で紹介する沖縄県島尻郡久米島町の【島の豆腐屋さん】の仕切り線

I 沖縄時間のトップページへ戻る I

I 工房ゆんたくのトップページ I
I 革工房YUNTAKU I 作品紹介 I 制作工程 I
I 沖縄時間 I 黒島 I 竹富島 I 島の豆腐屋さん I
I 泡盛文化の会 I 写真展 I うちな〜色々 I
I じょ〜と〜写真館 I 過去の「一枚の写真」 I
I メルマガ「月刊沖縄時間」 I 作品販売 I
I 関東黒島郷友会 I 関東黒島郷友会 公式 facebook I
I ブログ「工房ゆんたく」 I 工房ゆんたく 公式 facebook I 工房ゆんたく Twitter I

日本写真家協会会員の写真家、沖縄時間撮影人が写真で紹介する沖縄県島尻郡久米島町の【島の豆腐屋さん】の仕切り線

当サイト掲載作品の著作権は、写真家 大野隆志及び工房ゆんたくに帰属します。
Web上や印刷物などに無断で転載することは禁止します。

最終更新日:2006年4月30日

日本写真家協会会員の写真家、沖縄時間撮影人が写真で紹介する沖縄県島尻郡久米島町の【島の豆腐屋さん】の仕切り線

ご意見お問い合わせは フォームメール をご利用下さい。